旅路 (下)

2009/4/22 水曜日 – 6:51:24


書名:
旅路 (下) (文春文庫 (142‐29))
著者:池波正太郎

自分史を書くうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に書くときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を書くときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を書く際の参考情報になれば幸いです。

三千代は罪な女だ。
本人はちっとも悪人ではなく、むしろ周りの人に感謝し、周りの期待にも応える。
劣るところはない。
しかし、三千代に関わる男たちは命を落とす。

そもそも仇と狙う近藤虎之助がいい人なのだ。
それなのに、三千代はこのことを知らず、夫をきって逐電した憎い男でしかないのだ。
そのために、三千代と関わる男たちは皆、近藤を悪人と見てしまう。

近藤と三千代は上巻からもすれ違いそうになるくらいそばにいることがある。
それでも会うことはなく、読んでいるこっちがイライラするほどに二人はすれ違っていく。
戦後のラジオドラマ「きみの名は」もこんな感じなのだろうか?
ホントにじれったい。

さて、結末は池波正太郎ならではのものになっているのだが。
いやーな気持ちにはならないのだけれど、現実の人生も、こんな風に食い違いや勘違いで数奇なことになっているのかな、このぼくの平凡な人生も実態は複雑なのかもしれないなと考えさせられる本なのだ。

旅路、まさに人生の縮図なのだ。

チョイ上の自分史わたし本なら文研ビズ

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