ダイナブックの思い出-3-

2010/3/18 木曜日 – 9:16:08

文章を書くテクニック・文書を作成するノウハウ、メールやビジネス文書のコツ。
文書を書くのに便利な情報を毎日公開しています。
ぼくはテクニカルライターをかれこれ20年やってきました。
そこにも、作文のテクニックが隠れているかも!?

自分史を書くということは、長い文章を作成することです。
うまい文章やわかりやすい文章は、文才に恵まれた人だけの特権だと思っていませんか?
もちろん文才に恵まれた人は、うまい文章やわかりやすい文章を書くことができます。
でも、特に文才がなくたって、十分にうまい文章やわかりやすい文章を書くことはできるんです。
ここでは、そのちょっとしたコツを1つずつ紹介していきます。

命がけで改訂することになったダイナブックの取扱説明書は、目次構成からすべて練り直しです。

ある日、「コミヤマくん、コミヤマくん」と例の部長がぼくを呼びます。
「どうだね、今度はうまくいきそうかね」
部長へは東芝本社から相当厳しい指令が来ているようです。

「はい、本社の人と企画会議を開いて、そこで改訂方針を決めます」
普段は企画会議なんて開きません。制作方針を文書にまとめて、関係者に送付して、意見をもらって制作に入ります。
その企画会議も、20人ほど集まって、午後の半日をつぶすくらいの大会議です。

「ダイナブックを使えなかった奥さんのご主人のお役人はドンだけ偉かったんだ!」と思っていました。
(根拠のない噂です)

もう独りの担当のAさんと相談し、改定案は4つ用意することにしました。
本命は1つ。あとはそれを引き立てるための当て馬です。
こんな取扱説明書なら、きっと誰もが『わかりやすいっ!』と絶賛するだろうという改定案を用意して、大企画会議に臨みました。

しかし、結論は意外な展開で、当て馬の中から選ばれました。
選ばれたのは、目次構成はそのままで、これまでに寄せられた「お客様からの取扱説明書へのご意見」をすべて反映したもの、という改定案です。
絶対に選ばれないように、この案を「究極のつじつま合わせ案」と名付けて会議に出しました。
しかし、「究極のつじつま合わせって言うけど、それがいいんだよ。この段階でまた新規にマニュアル作っても、それがいいものになるかは分からないし・・・」と商品企画の課長さんは主張するのです。
そして、この課長さんこそが取扱説明書の責任者であり、予算を握っている人だったのです。

この会議で学んだことは、「責任者が結論を決める」ということでした。そしてこの経験は以降の、ぼくの企画作成方針に大きな影響を与えました。
どのような考えでぼくが取扱説明書(マニュアル)を企画するようになったかは、いずれまた!

自分史を書くならわたし本の文研ビズ

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