書き方のコツ:感情を動作で表現する

2011/1/17 月曜日 – 9:40:36

今日は文書の書き方のちょっとしたコツの紹介です。

感情を動作で表現する

自分史を書くということは、長い文章を作成することです。
うまい文章やわかりやすい文章は、文才に恵まれた人だけの特権だと思っていませんか?
もちろん文才に恵まれた人は、うまい文章やわかりやすい文章を書くことができます。
でも、特に文才がなくたって、十分にうまい文章やわかりやすい文章を書くことはできるんです。
ここでは、そのちょっとしたコツを1つずつ紹介していきます。

以前お話しした「形容詞をなるべく使わない」ということなのです。
ちょうどいい例に、芥川龍之介の手巾というのがあります。
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その時、先生の眼には、偶然、婦人の膝が見えた。膝の上には、手巾を持つた手が、のつてゐる。勿論これだけでは、発見でも何でもない。が、同時に、先生は、婦人の手が、はげしく、ふるへてゐるのに気がついた。ふるへながら、それが感情の激動を強ひて抑へようとするせゐか、膝の上の手巾を、両手で裂かないばかりに緊(かた)く、握つてゐるのに気がついた。さうして、最後に、皺くちやになつた絹の手巾が、しなやかな指の間で、さながら微風にでもふかれてゐるやうに、繍(ぬひとり)のある縁(ふち)を動かしてゐるのに気がついた。――婦人は、顔でこそ笑つてゐたが、実はさつきから、全身で泣いてゐたのである。
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悲しいと表現せずに、泣くという言葉も使わずに、ハンカチを持っている動作で表現しています。
残念ながら、これは文豪のなせる技なのでお手本にはなりませんけれどね。


チョイ上の自分史 わたし本 を作ろう!

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