潜在光景

2008/10/17 金曜日 – 14:36:18


書名:潜在光景 (角川文庫)
著者:松本清張

自分史を作成するうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に作成するときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を作成するときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を作成する際の参考情報になれば幸いです。

いい人が出てくる小説は面白い。

いい人が出てきて不幸な環境を乗り越えて、幸せに向かっていく展開のときは「がんばれ、がんばれ」と応援しながら読み進めていく。

いい人なのに、なぜかトラブルに巻き込まれて不幸に落ちていく展開のときは、「危ない、気をつけろ」とアドバイスしながら読み進めていく。
昔のテレビ番組「8時だよ、全員集合」の「志村!うしろ、うしろ」と叫ぶ小学生と同じ気持ちだ。

この「潜在光景」はいい人は出てこない。悪い人それも魅力のない悪い人が主人公だ。
悪い人にも2種類あって、悪いけどカッコいい人と悪くてしかもダメなヤツなのだけれど、この本に出てくる人はちっとも魅力がない。

しかし松本清張の筆力にかかれば、その魅力ない人の話も途中で読み捨てることは出来なくなる。
気になる。
「次はどんなことをするのだ、こいつは!」
「なんちゅう事をしでかすのだ、こいつは!」
「もうやめろ、ほかに楽しいことはいっぱいあるじゃないか!」などと思いながら、主人公たちはちっともその悪くてダメな性格を改めようとしない。

こんな小説、以前読んだことがある。
太宰治の人間失格だ。

チョイ上の自分史わたし本なら文研ビズ

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